ふと思い出した HGくんのこと。
HGっつーてもちょっと前に流行った腰フリヤロウのことでなく。そんな名字の彼がいたの。
地元のことなのでずっと彼のことを知ってはいたんだけど、高校の頃同級生になった。
AV機器にやたらと詳しくて、実際たくさんのものを所持していたようだ。家が農家(自営)だったから金があったんだか、親が甘かったんだかいろんなガジェットを持ってた。それが修学旅行なんかで大いに活躍するのでずいぶん羨しかったものだ。
技術系の高校だったので男子校みたいなもんで、実際ウチのクラスに女子はおらず、まるっきり男の世界。元気なやつはやたら元気で。
そんなで HGくんは元気ではないんだけど、一目置かれる存在だったんだな。行事ごとなどのときに定期的に持ち上げられる的な。(ぼくは本ばっかり読んでる変なヤツだったようだ)
彼が持ってたコンピュータが PC9801VX。当時はそこそこの機種かな、もしかして最強?
(自分はというと、親に借金して PC8801FH というシリーズ最低スペック機種を大事に使っていた)
卒業してぼくは上京した。HGくんは家業を継いだらしい。
数年して彼が突然亡くなったと連絡が来た。
次の帰郷のタイミングで、同級生になったことのあるイトコと一緒に線香を上げにお邪魔したのだが。
自殺したんじゃないのか、ということが噂になっていた。いくらなんでも若いのに突然すぎる。まぁそんなことを人というものは云いたくなるもので、帰ったときに母からもそんなことを臭わされてた。
時間がけっこう経ってから行ったということもあったので家の方たちはいたって穏かで。
HGくん家業を継ぐことに抵抗があったようだけれど、この頃はやっとやる気になってくれたようで。近々見合いをする予定になっていたのに。とか、話してくれた。
死因はよく分からず、朝起こしに行ったら冷たくなっていたとのこと。
それ以上そこを訊くわけにも行かずにはいはいと聞いていたんだけれど。
HGくん、いろんな葛藤と戦っていたんじゃないだろうか、家業なんかなければ上京したかったんじゃないだろうか、コンピュータ業界でバリバリと働けただろうし。
間違いなく童貞のまま死んでいった彼が哀れに思えてしまった。
彼の死については今だに実感が無いままだが、彼が今の世界を見たらなんて云うのかな。


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